神様がくれた夏



あの時間だけはどこか現実から切り離されているような気がするのだ。



跳ねる水飛沫と照りつける太陽。


大きく息を吸い込むと、全身に酸素が行き届いて体が軽くなる不思議な感覚。




そして何より彼の不思議な何かに惹かれているのだ。




傍で見ていたいと思ってしまう。


悪い噂からは想像もつかなかった彼の部分に触れてしまったからかもしれない。




終わってしまう。


もう、終わってしまう。



最悪だと、凄く嫌だと思って始めたあの時間が。






あたしの唯一の解放される時間。





あたしの―――大切な時間が。








終わってしまうね。



< 205 / 468 >

この作品をシェア

pagetop