神様がくれた夏
君と最後の時
靴を脱いでは靴下も脱ぐ。
そこでもう既に置いてあった靴を見つけては、慌てて駆け出した。
「ごっ…ごめん、遅れた…」
プールサイドにデッキブラシを杖のようにして立っていた夏目涼は、あたしにゆっくりと視線を移動させては口を開いた。
「別に」
その言葉を耳にする。
思わずあたしの顔から笑みが零れた。
言葉を発することが面倒なのかどうなのか分からないけれど、夏目涼は口数が相変わらず少ない。
だからこそこうしてあたしの言葉に反応を見せてくれたことに嬉しくてしょうがない。
最近のあたしはすごく単純だ。