神様がくれた夏



いつまでも彼に奢られっ放しというのは良くない。



だから言ったのだ。



「今日はあたしが奢るよ」



「は?」



「あたしばっかり奢られっ放しだしっ」



変な気を悟られないようにあたしは慌てた。


すると彼は怪しいとでも言いたそうに眉間にシワを寄せる。



「いや、別に…」



「奢るの!」



あたしは彼の言葉を遮ってはそう強く言い切った。


言い切ったもん勝ち、逃げた者勝ちだと思ったあたしは振り向くことなくプールから抜け出した。



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