神様がくれた夏



あたしは空いた手でストローを取り出して飲み口に突き刺す。


その動作はほぼ夏目涼と同時だった。




2人してジュースを飲みながらプール掃除に戻るために歩く。




照りつける太陽が暑い。


蒸された空気が纏わりつく。



無言で歩くあたし達。


会話はない。



しかしなぜだろう。




この空間が好きだ。


この流れる温度が好きだ。




聞こえる音は蝉の声だけ。


不必要な音はない。



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