神様がくれた夏



プール脇に着いては靴を脱ぐ。


そしてあたしより先に歩き出した夏目涼が呟いたのをあたしは聞き逃さなかった。




「……ありがとな」




それは小さな感謝の言葉だった。


あたしは驚いて口を閉ざしてしまう。



けれどあたしが何を言っても言わなくても関係ないらしく、あたしの返事を聞くことなく先に行ってしまった。



その背中を見つめる。



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