神様がくれた夏
けれど時なんて止まるはずない。
当たり前のように刻々と時は過ぎていく。
当たり前だ。
魔法なんてこの世には存在しないことくらい分かってる。
黙々と作業を続けていたあたしに2度目の声がかかる。
「おい」
声が、かかる。
それは終わりの時を知らせる声だった。
唐突に耳を塞ぎたくなった。
「もうこの辺で十分だろ」
「…そうだね」
あたしは小さく頷いた。
馬鹿じゃん、あたし。
たかがプール掃除が終わるだけで、どうしてこんなにも悲しくなっているんだろう?