神様がくれた夏





「もう! 雨の予報なんてなかったよねっ?!」



授業が終わるなり、ほのかはあたしの席に来てはプリプリと文句を垂れた。


前の席が空席なのをいいことに、席に着いては椅子をこちらに向けてあたしの机に突っ伏した。



「どうしよー…傘持ってないよー…」



「同じく…」



「やっぱり何が起こるか分かんないから、折りたたみ傘は常に持っとくべきかなぁ?」



「そうかもねぇ…」



空を見上げる。



青空が見えない。


灰色く汚れた空しかない。



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