神様がくれた夏




あたしは見た。



反対側の壁に背をつけて腕を組んでいる男の人。


暗闇の中、目を凝らしてみる。




「せん…ぱい…?」



佇む男の人はあたしが良く知る人物だった。


そう理解した途端に背中に冷や汗が流れる。




あたしは一瞬にして理解した。


腕を引かれ、そしてここの教室内に投げ入れられたのだろうということを。



いきなりのことにふんばることすらできなかったあたしは、一方的にかけられた力のせいで思いっきり投げ飛ばされた、というとこだろうか。



(なんなの…)



あたしには先輩の突然の行動が何一つ理解できない。



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