神様がくれた夏
けれどそれはほんの少しの時間だけで、現実に戻ってきたあたしはワナワナと拳を震わせながら彼女―――ほのかを睨みつけた。
「いきなりなにすんのさっ?!」
水を散らしながらそう怒鳴れば、ほのかはしたり顔で笑ったまま、
「ボーっと気を抜いてる水涼が悪いのよー」
なんて言い残し、ケラケラ笑いながら校舎へと逃げていった。
あたしはそんな背中を追いかけようと足を踏み出したが―――ジャリっと砂を踏む音がしてそこで気づく。
自分は今裸足だった。
しかも膝から下は顔と同じくビシャビシャに濡れている。
くそう、だめだ…。
さすがにこんなに濡れていながら校舎に駆け込むなんて非常識なことができるわけがない。