神様がくれた夏
(助けて…夏目涼…)
あたしはその時彼に助けを求めた。
心の底からそう思ったのだ。
抵抗すらままならない。
どうしたらいいのかも分からない。
ただ助けてと願うしかない。
けれどそれは全く無駄なことだった。
あまりの恐怖に声すらまともに発することができない。
両腕を押さえ込まれているから逃げ出すこともできない。
雨の日。
校内に残っている人はいないと思ったほうがいい。
どうしようもなかった。