神様がくれた夏



もっと早く帰っていれば。


もっと速く走っていれば。


もっと窓際を走っていれば。




もっと。


もっともっともっと。




考え出した途端、涙が滲んできた。




けれど泣きたくない。


こんなことで泣きたくなんてない。



あたしは上を向き、必死に涙を堪えた。




昇降口に着いては上履きからローファーに履き替えて、運良く開いていた扉から外に出た。



外に出るとより一層雨音が激しくなる。


同時に雨が激しく体に打ちつけられる。



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