神様がくれた夏





「…抱かれたのか?」



そう聞いてきた。


その質問にあたしは顔を上げる。




「…無理やり抱かれたのか?」




彼は相変わらず怒っていて、けれどもどこか悲しそうな表情をしていた。


あたしはそんな表情をする夏目涼をじっと見つめる。




なんでそんな悲しそうなの…?


なんでそんな辛そうなの…?



気のせいかもしれない。


けれどその泣き出しそうなその表情を見ていたら、あたしの瞳から涙が溢れ出した。



溢れ出しては流れる。


頬を伝う。


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