神様がくれた夏
ふと上空から飛行機の音。
ゆっくりと目を細めて空を見上げてみる。
まさに夏の空と言える真っ青な空に真っ白な雲が浮かんでいた。
「はぁ…」
ため息がこぼれるのは決して硯を足に落とされて汚れたのや、ほのかに水をかけられたのだけではない。
何と言っても夏だ。
今いる場所は多少日陰になっているから死ぬほど暑くはないけれど、夏真っ盛りだけあってそれなりにムシムシはしている。
こんなとき涼しい風がほしいもんだ。
けれど流れゆくのは湿度を孕んだ熱風だけなもんだからどうしようもない。