神様がくれた夏
「あたし達も流れてきた噂だからよく分かんないんだけどさ!」
「あれよあれ! 夏目涼…だっけ?」
「そうそう! あいつが今日の朝登校するなりさ、津田川先輩に殴りかかったらしいの!」
瞬間、鈍器で頭を殴られたような衝撃が走った。
分かってた。
しっかり頭では理解していた。
それでも理解したくなくて、どこかで勘違いだと信じていた。
けれど知る。
勘違いであるはずがなかった。
夏目涼。
彼女はその口で彼の名前を口にした。
それをあたしはしっかりと耳にした。