神様がくれた夏



彼が先輩を殴った。



それは本当だと分かった瞬間涙が出そうになった。




どうして?




理由が全く分からなかった。



なぜだろう。


自分のことのように凄く悲しい。



気を引き締めておかないと涙が出てきそうになるもんだから、あたしは俯いたままグッと握りこぶしを作った。




そんなあたしがいかにも悲しみに溢れたオーラを放っていたもんだから、途端に女の子達は慌て始めた。



「…あ、あのね! でも詳しくはあたし達も分かんないんだ!」



「そ、そうそう! 実際どうか分かんないの!」



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