神様がくれた夏



先輩は同学年からも後輩からも、そして男女問わず人気な人だ。


だから余計にこの事件が騒がれているんだろうと予想できる。



きっと校内中この噂で持ちきりだろう。




「ってかさ本当信じらんないよね!」



「先輩病院にいると思うから、今日帰りにお見舞い行ってみてね!」




あたしは笑った。


口から出る言葉はない。



すごく心配している女の子達にあたしはお礼を言い、教室に入ることなく早足で職員室へ向かった。



病院送りにされたらしい先輩のことは心配だ。


けれどそれよりも夏目涼の方が心配になるあたしは間違っているだろうか。



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