神様がくれた夏
夏目涼の自宅は住宅街にある、一見新しそうな家だった。
インターフォンへと手を伸ばす。
しかし瞬間、ドキリと胸が鳴った。
伸ばした手はインターフォンを押せずに中に浮いたまま。
「………」
じんわりと手に汗。
どうやら自分でも気づかなかったほど緊張しているらしい。
ごくりと唾を飲む。
夏目涼が家に帰宅している可能性は少ないかもしれない、だからインターフォンを押しても出て来ないだろう、なんて自分に言い聞かせては勇気を集める。
実際問題として帰宅していなかったら大変困るのだが。