神様がくれた夏
大きく息を吸い込む。
そしてインターフォンに向けて、更に手を伸ばす。
―――ピーンポーン
音が鳴る。
あたしの家のインターフォンより好きな音だな、なんて思っては緊張をほぐそうとしてみた。
あたしが無意味にガッチガッチに緊張していたら笑えない。
暫しその場で待つ。
しかし応答はない。
誰もいないのだろうか。
家の中から聞こえてくる音は1つもなく、むしろ人の気配すらないような気がする。
自分の指先を見つめ、再度インターフォンを押そうか迷う。
けれどあたしの次の行動はさっきとは見違えるほど早かった。