神様がくれた夏
「…何でそんなに勝手なの」
あたしは腹の奥底から搾り出すように言葉を吐き出す。
その言葉に一瞬、彼の眉が動いた。
けれど夏目涼は一刻も早くあたしをこの場所から追い返したいのか、
「…いいから黙って帰ってくれ」
心底呆れたような声でそう言うと、ベランダからいなくなってしまった。
いなくなったベランダをあたしは見続ける。
悲しみよりも、怒りの方が大きくなっていた。
何でそんなに自分勝手なの。
どうしようもなかった。