神様がくれた夏



すると先生が言いづらそうに口をモゴモゴと動かしたのを俺は見逃さなかった。


その瞬間、俺の全身に電流でも流れたかのような衝撃を受けた。



まさか。




〝…後はあたしに任せて〟




途端にあいつの言葉が脳内で繰り返される。


何度も何度も何度も。




まさか。


そんなまさか。




俺は担任の言葉を待つ前に進路指導室を飛び出していた。


後ろからは俺の名前を呼ぶ声が聞こえたけれど、走り出した足は止まらなかった。




嘘だ。


だって、まさかそんなことが。


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