神様がくれた夏
ただひたすら走る。
だって俺はあいつのことを何も知らない。
だから向かう場所は1つ。
「………っ」
あいつはどこのクラスだったろうか。
懸命に思い出すが分かるはずがない。
慌てているせいか、俺は柄にもなく廊下で談笑している女子に話しかけた。
「…おい、今井って奴のクラスを知っているか?」
いきなり俺に声をかけられたことに酷く驚いてビクついた女子。
けれどさっさと俺にこの場から去って欲しいのだろう。
ツインテールにしている方の女子が怯えながらも、
「に…2組です!」
早口でそう言った。