神様がくれた夏

今井はため息混じりにそう言うと、俺を廊下に押し出しては後ろ手にドアを閉めた。


そのままどこかへと歩いていくもんだから、俺はその後について行った。



今井は普段あまり使われない階段。


今井はそこで止まっては勢いよく振り返った。




「…やばいわよ」



そして見たことのないくらい真剣な表情で言ったのだ。



「まさか…」



「…そのまさか」



俺は珍しく顔面蒼白になっているかもしれない。


だってありえないだろう。




「彼女、職員室に乗り込んで言ったの」




聞きたくない。



（だってそれじゃあ俺は何のために奴を殴ったんだ…？）