神様がくれた夏
自分のせいで彼女が傷ついたら、なんてことはこれっぽっちも考えなかった。
なんて自分勝手すぎる行動を起こしてしまったのだろうかと今更後悔した。
5組の教室前。
窓際に座り込んでいた子がいきなり顔を上げた。
「夏目…涼…くん…?」
泣いていた。
随分と前からそうしていたようで、酷く目が充血していた。
(なんだ…?)
急に自分の名前を呼ばれたことに驚いた俺は、5組の教室前で足を止めた。
その子の前で立ち止まる。
女は苦手だ。
そもそも人間が苦手なのだが。
立ち止まったのはいいとして、どうしたものか。