神様がくれた夏




俺はそいつの質問に答えることなく、自分の質問を口にしていた。




「お前は…あいつのところへ行ったのか?」




なぜだろう。


そんなことを聞く必要性なんて全くなく、そして俺には関係のないことなのにそう尋ねていた。



関係のないことだ。


なのに胸が騒ぐ。



なぜ。


どうして。



そいつは小さく首を縦に振った。


そうして再び俯いては押し殺すような声で訴えてきた。




「あたしは…っ何も知らなかった…」



< 369 / 468 >

この作品をシェア

pagetop