神様がくれた夏



この騒ぎの中だ。


教室内にはいないだろう。




「体育館の…裏」




そう答えるや否や、俺は歩き出した。



けれど気づく。




「…なぜ来ない?」




ついてくる気配が全くなかったのだ。


振り返れば、そいつは一歩も進むことなくその場で俯いたままだった。



「………」



唇を噛んではじっとして動かない。


だからもう一度俺は言った。



< 372 / 468 >

この作品をシェア

pagetop