神様がくれた夏
何かを言葉にしたらしい。
けれど俺はそれを聞き取ることができなかった。
「あ?」
そう聞き返せば、そいつはいきなり叫んだ。
「どうしたらいいのか分からない…っ!!」
それは嗚咽混ざりの悲痛な叫び声だった。
途切れることなく言葉は続く。
「分からないの…だって…そんなのって…っ!!」
そいつの不安定な気持ちも分からないわけではない。
けれどそれは違うと思うのだ。
ずんずんと大股で近づいては胸ぐらをつかみあげた。