神様がくれた夏



あたしは一度口を閉じると呟いた。




「…向かってる場所」




夏目涼は分かっている。


それを分かっていると知っているのに質問してしまった。



なぜだろう。


自分自身が向かう場所を宣言したいのだろうか? なんて考えた。



少し恐い。


いや、だいぶ恐い。




できることならばもう二度と会いたくない。




それでも会わなければいけない理由がある。


あたしが前へ進むためにはしなければならないことがある。




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