神様がくれた夏



「………だろうが」



「ん?」



すると夏目涼は足を止めた。


それに合わせてあたしの足も止まる。



夏目涼は何かを思いつめたように前を向いている。


あたしはその顔表情を見るべく覗き込んだ。





「…俺がいるだろうが」





夏目涼の瞳があたしを捉えた。


それは一瞬だった。



「………っ」



あたしはその吸い込まれそうな瞳から目を逸らせなくなっていた。



暫し見つめ合う。


すると夏目涼の瞳がフッと優しさを帯びたように見えた。



< 404 / 468 >

この作品をシェア

pagetop