神様がくれた夏




「…悪かった」




それはとても小さな声。


奥底から絞り出したような謝罪だった。



あたしは笑って首を振った。




「もう、無しにしましょ」




もうやめよう。


全部全部なかったことにしよう。



「気にしないでください」



「で…でも…」



「あたしは大丈夫です」



震えていない自分を褒めてあげたかった。


あたしは笑えていた。


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