神様がくれた夏
夏目涼が先輩のようなことをするかもしれない、という恐怖はない。
あたし自身が〝恋愛〟をすることに怯えているんだ。
あんな悲しい思いはもうしたくない。
あんな苦しい思いはもうしたくない。
あんな恐ろしい思いはもうしたくない。
それでも彼を想うと胸が温かくなる。
だから分からない。
「…あたし、夏目涼が好き」
「うん…?」
「でも…恐いんだ…」
そう言葉にすると、ほのかが一瞬息を飲んだ気がした。
そしてほのかは小さく、それでいてしっかりと言った。