神様がくれた夏




「去れ」




その声にビクリと震え上がった男子生徒は、一目散で逃げていった。


そんな光景を見ていた他の生徒も震え上がる。



けれどあたしは夏目涼から目を離せなかった。




「夏目涼…」



夏目涼の見ているだけで震え上がってしまう瞳が、あたしの声を聞いた瞬間に変わる。


あたしを見つめる夏目涼の瞳は優しい。



やばいと思った。


泣きそうだ。



夏目涼はあたしの元へ歩み寄ってくる。


そして言った。





「お前は俺が守るっつっただろうか」





だめだった。


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