神様がくれた夏
夏目涼はあたしの言葉に驚いたように目を見開く。
今のあたしを見る限り、泣き崩れるだろうと予想していたのかもしれない。
強がってみせたあたしに夏目涼は、
「…はっ」
小さく吹き出した。
そして頭をポンポンと撫でた。
(あぁ…もうだめだ…)
好きだな、と思う。
どうしようもなく好きだ。
あまり目立ちたがらない夏目涼は少しでも早くこの場から退散したいらしく、あたしの手を取ると教室とは反対向きに歩き出した。
視線が向けられているのが分かる。
けれどさっきよりも嫌じゃなかった。
さっきのような息苦しさはもうなかった。