神様がくれた夏
放課後の教室でたわいもない会話。
「まさかあの夏目くんがねぇ、そんな優男だったなんて思いもしなかった」
「…それはあたしも同意」
「あんな悪い噂がたってる割にいい人だよね?」
「うん」
人は見かけによらない。
それを痛いほど感じる。
そんなたわいもない会話をしていると、後ろからあたしの名前を呼ぶ声がした。
「水涼」
その声に振り返る。
「涼、終わったの?」
付き合って数週間。
最初は恥ずかしくてできなかった名前で呼ぶのも、今となっては普通になった。