神様がくれた夏




瞬間、あたしは弾かれたように起き上がった。



急に腕を放したせいで、ほのかの頭と床が衝突したような鈍い音がしたが、聞こえないフリをしておこう。



それどころではなかった。


全細胞が叫んでいた。




「…な、何ですか?」



顔を上げる。


笑顔で。



笑顔で。




「あぁ、良かった、いた」



そう言って笑うのは先輩。


津田川先輩――――あたしの彼氏。



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