神様がくれた夏




あたしのことなど考えずに。


あたしの思いなど知らずに。



なんともない顔で平然と愛の言葉を囁くんだ。



「あぁ、会いたくなって」



「えっ?」



「なんて。 そうすぐに顔を赤らめるな」



そう言っては先輩は両手であたしの頬を包み込む。


ふんわりと包み込まれ、更に頬は赤みを増しているだろう。



幸せなんだろう。


こうして優しく包み込まれるのだから。



幸せ…なんだろう。



普通ならば。


愛し合っている恋人同士ならば。



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