神様がくれた夏




あたしは俯いたまま呟く。



「だ、誰かに見られてたらどうするんですか…っ」



手で顔を隠し気味にそう言えば、先輩はそんなあたしを馬鹿にするかのように言う。



「見せ付けてやればいいだけだろうが」



そう言っては無理やりにもう一度キスをしてきた。


そうやってあたしを困らせては楽しむ先輩。




あたしはそんなどこか楽しそうな先輩をそっと上目で見つめる。




どうしようもない。


だって、どうもできないのだから。



言ってもだめ。


あたしは知っている。



彼を怒らせたらだめ。


知ってしまったから。



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