神様がくれた夏




苦しいと、本気で死ぬかもしれないと思い始めたときだった。



先輩の肩越し。


渡り廊下のちょうど真ん中あたり。




足を止めてこっちをジッと見つめる人を見てしまった。


目が合ってしまった。



「………っ」



見られた。


見られた見られた見られた。



渡り廊下にはあの男がいた。




――――夏目涼。




何を考えているのか分からない、なんとも言えない無表情で、足を止めてはこちらを見つめている。


見つめている。



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