神様がくれた夏



どうしていきなり夏目涼のこと? と聞かれたもんだから、あたしはさっきの出来事を全て話した。


好き、なんて勘違いをされたままじゃたまったもんじゃない。



あたしの話を一通り聞いたほのかは、あたしと同様に眉を寄せた。



「ふーん…そりゃ謎だな」



「でしょ? 何がしたかったんだろ?」



「んー…あれじゃね? ふとやりたくなっちゃった感じなんじゃないの?」



誰にだってあるでしょ、なんてほのかは言うけれど、誰にだってあるのだろうかと考えてしまった。



ふと校庭で大の字で転がってみたくなるものなのか?


授業中という静まった校庭で1人、何を思っていたのだろう?



理解できない。


仮に夏目涼から真実を聞いても理解できないと思う。



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