神様がくれた夏
顔を見合わせると、あたしは叫んだ。
「忘れてた―――っ!!」
机の脇に引っ掛けてある鞄を乱暴に手に持つと、教室を飛び出した。
後ろではほのかが「長くなりそうだから先に帰るよーっ」と叫んでいた。
怒られること前提に話を進めていたほのかを恨みつつも、あたしは足を止めずに全力疾走をする。
しくじった。
ぜんぜん覚えていなかった。
ダッシュ。
全力疾走。
怒られたりはしないはず。
そんなカッカっと頭に血が上って噴火する先生じゃないと思う。
怒られませんようにと願いながら、あたしは職員室前に着くなり躊躇することなくドアをノックした。