草村の中の住人。
「僕のお家で一緒に暮らさない?」
ぴくっと体を動かした君は、疑っているように僕を眺めました。
「お母さんには僕から言うから、だから一緒に暮らさない?」
君はまた長い間考えて、トントントンと降りてきました。
そして僕の目をじっと見つめて公園の出口へ向かいました。
「あ、待ってよ」
僕はにっこり笑いながら、君と暮らせると思うと何故か嬉しくて、軽い足取りで家まで案内しました。
「ちょっと待ってて」
僕は君にそう言って家のドアを開けました。
"おかーさーん"
"あら、お帰りなさい。楽しかった?"
"うん!あのね、お母さん。この子も一緒に暮らしていい?"
"…どうしたの?その子"
"公園にいつも一人ぼっちだったの、お母さんもいないみたい。だからお願い"
"駄目よ。そんな小汚い子、家にあげるわけにはいかないわ"
"お母さんお願い!!"
"ほら、あなたは早く家に入りなさい。晩御飯が待ってるわよ"
"え、でもっ"
僕が振り返ったとき、君はもういませんでした。
僕は捜しました。きっとご飯も食べてないんだろう。おなかが空いているんだろう。おなか空きすぎて倒れていないか。
そんな事をずっと考えながら、何日も何日も過ぎていきました。