あ
「まただ…」
紗里は寝起きの顔もそのままに、ベッドの横に置いてあるシャープペンとノートを手にとって考え込んだ。
「また、あの夢」
最近毎晩同じ夢を見る。
「グレーのローブ、白い足、砂漠、夜……っと。」
ビーズでデコレーションされたシャープペンがすらすらと動く。
紗里は夢の特徴を細かくノートに書き出していた。
「あの人、だれなんだろう?」
顔が分からない。
いつもローブで隠れてしまっているのだ。
毎日毎日同じ夢を見る。
砂漠を誰かが歩いている。
夜になってだんだん風が
冷たく吹き始めたころに目が覚めてしまって夢は終わる。
あの人はどこへ行くのだろうか?
「紗里!まだ寝てるの?」
夢について真剣に考えていたが、考えがまとまらずもやもやしていたところに母の大きな声がして飛び起きた。
「やば!学校、、」
夢の続きが気になるが、今は準備をした方が良さそうだ。