あ
素早く歯を磨いて顔を洗う。
紗里はまだ新しくピシッとして綺麗な制服に袖を通した。
鏡を見ると真っ黒のロングストレートの髪が揺れた。
それを櫛でさっとといて整えた。
「ん、よしっ」
鏡にうつる大きな瞳が
こちらを見ていた。
「今日も1日平和に過ごせますように。」
そう呟いて階段を降りると、
母が朝ご飯を用意してくれていた。
まんまるの目玉焼きと
こんがり焼けたトーストを頬張って、カフェオレを飲んだら家を出る時間だった。
「いってらっしゃい」
母の声を背にピカピカのローファーに足を入れた。
「いってくるね」
そういって家を出た。
今日も何気ない日常が始まるんだと思っていた。