「え?」


加奈の話を聞いて呆然とする私に加奈はもう一度言った

「だからね、それってつまり…」


ごくり、という音が紗里から発せられた


「つまり?」



「誰かが紗里に助けを求めてるのよ!ほら、よくあるじゃない?小説とかで主人公が異世界へ飛ばされちゃうみたいな話」


またもや呆然。


「しょ、うせつ?」


呆然。

この日は紗里が
開いた口が塞がらない状況を人生初体験した日となった


そして加奈の天然っぷりを再確認することにもなったのだった



「ふふっ」


なんだか真剣に夢の話を聞いてアドバイスをくれた加奈に嬉しくて思わず笑ってしまった


「そうよ!だから紗里はこれから素敵な人助けをするのよ。そして…

あ!学校始まっちゃう。紗里、急ぎましょ」


加奈は興奮気味にそう言いのこした


走り出した加奈に次いで私も再び自転車を漕いだ



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