今年で高校1年生になったばかりで
授業にもまだ慣れない紗里は
先生のはなしをぼーっとしながら
聞き流していた

もう寝てしまおうか、

そんなことを考えていたら
退屈な授業も終わり、
あっという間に外は
茜色に染まる頃となっていた




「紗里ー、かーえーろー?」

加奈が席まで呼びにくるのは
もう日常だった

「うん、帰る帰るー!
…っととと、」


紗里は勢いよく立ち上がった
ためか、めまいがして
よろけてしまった


「大丈夫!?」

普段はのんびりとしているが
いざという時は
テキパキと行動ができる加奈は
素早く紗里を支えた

「っと…加奈ありがと、
もう平気!なんかいきなりめまいが…

ってやっぱ寝不足かな?
今日から早寝早起きしよっかな」


そういって紗里が笑うと
加奈もつられて笑う

「でも、紗里いつも
寝るの早いでしょ?」


「ばれたかー!」

そんな話をしながら
二人は教室を出て帰り道へと
歩みを進めた




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