【短編】カフェ・モカ
「驚かないでね。いや、驚くだろうな。」

「もったいぶらないで言いなさい。どうせ大したことじゃないでしょ?」

一人でニヤニヤするキミは子どもそのものだ。
早く言いなさい、ともう一度催促しようとしたときだった。

「あのね、俺に彼女ができたんだ!」

彼女?彼女って恋人ってこと?
あたしの頭は真っ白になる。

「恋人ができたってこと?」

「うん。」

嬉しそうに首を大きく縦に振っている。ブンブンと音が鳴りそうなくらいに。

「そう。」

他に言葉が思いつかなかった。

普通なら“おめでとう”とか“よかったね”とか言ってあげるべきなんだろうけど。

それは無理よ。

―だって、あたし―


ずっとキミのことが好きなんだもの。
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