【短編】カフェ・モカ
中学に入学する前に、お父さんの転勤で引っ越すことになっていたあたし。

小学校6年間同じクラスだったキミを、あたしはずっと見ていた。

人気者だったキミのすぐ傍で、あたしは笑っていたのに。
このままずっと、一緒にいれるはずだったのに。

いてもたってもいられなくなった。

卒業式の日、あたしはキミに想いを綴った手紙を書いた。

手紙といっても、そこに並べられたのは

“大好き”のたった三文字だけ。

みんなに囲まれて、写真をせがまれてるキミを見て

手紙を握り締めてポケットにしまいこんだ。

あたしに気づいたキミは大きく手を振ったけど、

「さよなら。」

あたしは小さく呟いて、そのまま立ち去った。

そして、あたしはキミから遠く離れた場所へ。
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