窓際のブラウニー
第1章【自分】
トイレのループ窓を開けると
澄み渡る青い空と街が広がっている。
誰かここから連れ出して。
葉を失くした木々が等間隔に並ぶ。
その奥にそびえ立つ高層ビル。
遥か遠くに見える山々には
雪が積もっていることだろう。
ここからは
その白が雪なのか空なのか
判断できない。
日当たりの悪いこのトイレの中だけが
心から休める場所。
ここからの景色だけが
私を現実から連れ出してくれる。
< 1 / 180 >