窓際のブラウニー
思い出すのは
田所さんの指と
その温もりだった。
昨夜の夫に抱かれた感触はもう覚えてはいない。
思い出し、熱くなることもないだろう。
そこには『愛』がなかったから…
田所さんと触れ合ったほんの数秒が、私を熱くする。
絡めあった指の感触は一生忘れることはないだろう。
あのドキドキとした震えるような気持ちを
忘れることなんてできない。
ブラウニーを口に入れるたび
田所さんの笑顔を思い出す。
私はこれからも何かあると
この場所へ来るだろう。
そして、この場所がある限り、私は田所さんを忘れることはないだろう。