窓際のブラウニー
そこに写る犬は
全て、殺される前の犬だった。
捨て犬や虐待されて弱った犬達の
最後の姿だった。
『生きたい、死にたくない』と言う彼らの叫びを
田所さんが写真という形で、永遠にこの世に残した。
人間は残酷だ。
売れる種類の犬を大量に繁殖させて、流行が過ぎると
その犬達は売れ残る。
また違う種類の犬が流行り、どんどん人間の流行が移り変わる。
捨て犬を何度か拾った経験があるが、どの犬も
その後、飼い主に対して驚くほどに従順だった。
『命の恩人』であることをわかっているかのように
その家族に愛情を返してくれた。
今、この一瞬にも
多くの犬や猫、動物が処分されているという現実。
知らなかったわけではないが
目をそむけていたのかも知れない。
自分にはどうすることもできない大きな問題で、
日々の自分の暮らしの中で、向き合う問題ではなかった。