窓際のブラウニー




そこに写る犬は

全て、殺される前の犬だった。


捨て犬や虐待されて弱った犬達の

最後の姿だった。




『生きたい、死にたくない』と言う彼らの叫びを

田所さんが写真という形で、永遠にこの世に残した。





人間は残酷だ。



売れる種類の犬を大量に繁殖させて、流行が過ぎると

その犬達は売れ残る。



また違う種類の犬が流行り、どんどん人間の流行が移り変わる。





捨て犬を何度か拾った経験があるが、どの犬も

その後、飼い主に対して驚くほどに従順だった。



『命の恩人』であることをわかっているかのように

その家族に愛情を返してくれた。



今、この一瞬にも


多くの犬や猫、動物が処分されているという現実。




知らなかったわけではないが


目をそむけていたのかも知れない。



自分にはどうすることもできない大きな問題で、

日々の自分の暮らしの中で、向き合う問題ではなかった。



< 105 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop