窓際のブラウニー
避けて通れる存在ではない。
私は話題を写真集に戻す。
手に取った白い犬の写真集を開く。
さっきマスターが『雪子さんの…』と言った犬。
田所さんは、
瞬きを忘れたかのように、私の姿を眺めていた。
私がコーヒーに手を伸ばすと、思い出したかのように目を2度大きく閉じた。
「その犬ね…今、僕の家にいるんですよ。」
「名前はね・・・ゆきって言うんです。」
「もう少しで処分されそうになっていたところだったんです。」
穏やかに話す田所さんの瞳に
涙が浮かんでいるのを、気付かないフリをして頷き続けた。